介護スマートセンサー(現在開発中)

NIROの補助事業として採択されました

介護スマートセンサー

介護施設に向けたセンサーハブの開発

介護施設では、離床検知マットや人感センサなどの導入が進んでいますが、ナースコールなどの既存システムと統合するのではなく、単独の装置として使われているケースも多いようです。複数の検知器(センサ)を集中して管理できる製品も存在しますが、管理できるのは同一メーカーの検知器に限定される場合が多く、一方で介護の現場では状況に応じて機器を調達しているため、使用する機器類を一つのメーカーに統一するのは困難です。

そこで、施設で利用されている各種の検知器からの情報を、そのメーカーに関わらず集中管理するシステムを、Web サービスとして開発することにしました。メーカー毎に異なるセンサからの信号をセンサハブで標準的な形式に統一し、インターネットなどを通じてクラウド上にあるサーバーに送り、その中で動いているソフトウエアによってセンサが検出したイベントの記録や集中表示と職員への通知を行います。

このように、システムを Web サービスとして提供する事で介護施設に新たな管理装置等を導入する必要が無く、既設の検知器からの情報をクラウドに送信するだけの機能を持った安価なセンサハブ(IoT装置)を取り付けるだけで利用できます。システムの利用者は、システムの規模に応じた定額のサービス利用料金を毎月支払う事で、新たな設備投資を行うことなく見守り業務を省力化できます。

センサハブはリースまたはレンタルで提供し、既存センサとのインテグレーションに関しては、簡易なケースは初期費用でサポートします。追加ハードウエアが必要になるなど複雑なケースは、オプションのサービスとして対応する予定です。

【システムの構成要素】

下記のような機能(ハードウエア、ソフトウエア)を開発する計画です。


● センサハブ
呼び出しボタンやRFID読取装置などからの信号を読み取り、クラウド上の Web アプリケーションに送信する機能です。ハードウエアは、Raspberry Piのような複数ベンダから調達可能な、オープンソースハードウェア製品を利用します。
センサハブのハードウエアの設計と量産に関しては、ANXA 株式会社にご協力いただく予定です。搭載ソフトウエアは、当社が開発します。


● 受信モジュール
センサハブから送信される検出器の情報を受信する機能です。クラウド上の Web アプリの一部として、センサハブとの通信を制御します。通信プロトコルごとに作りますが、当初は HTTP/JSON をサポートするモジュールだけを制作します。


● 記録モジュール
受信モジュールが受け取った情報を、データベースに記録する機能です。データ
ベースの種類ごとに作りますが、当初は MariaDB をサポートするモジュールだけを制作します。
● 統計処理モジュール
データベースに記録された検出器からの情報を評価する機能です。移動平均や時間積分などの基本的なものからパターン抽出まで行いますが、当初は閾値を越えた場合のイベントの発生機能だけを実装します。


● 可視化モジュール
生の測定値や処理済のデータを可視化する機能です。現時点での検出器の状態を一元的に表示したり、時系列でグラフ化して表示したりします。オープンソースのソフトウエア(grafana8など)を活用して制作します。


● 外部連携モジュール
外部のシステムとの連携を実現する機能です。外部からデータを読み出して利用するための API を提供したり、外部のシステムの API を呼び出したりします。
閾値越えなどの状況発生を担当者に通するため SMS(ショートメッセージ)を利用しますが、外部の SMS サービスの API 呼び出しもこのモジュールで実装します。


【開発の背景】

総務省などの推計によれば、今後5年程度で「高齢者の急増」から「現役世代の急減」に人口動態の局面変化が起こることが予想されています。このため、2025 年以降に顕在化する現役世代の人口急減という新たな課題への対応が必要になります。医療・介護サービスの観点では、労働力の制約が強まる中でのサービス水準の維持が重要課題であり、テクノロジーの活用等による医療介護サービスの生産性向上を通じて、2040 年の時点において求められる水準の確保が目標とされています。

ここで言う「生産性」とは、サービス産出に要するマンパワー投入量であり、特別養護老人ホームでは、平均して入所者 2人に対し介護職員等が 1人程度の配置となっていますが、ICT 等の活用により2.7人に対し 1人程度の配置で運営を行う実例も存在します。この政策方針を反映し、介護現場革新会議が作成した介護サービス利用者と介護現場のための「介護現場革新 基本方針」には「ロボット・センサー、ICTの活用」(下記)が第2の施策として組み込まれています。(注釈1資料の38ページ)

施設における課題を洗い出した後、その解決のためにロボット・センサー、 ICTを用いることで、介護職員の身体的・精神的負担を軽減し、介護の質を維持しながら、効率的な業務運営を実現します。(特にケア記録・見守りセンサー等)
当社では、このような課題を課題に対応したシステムを「介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン」を参考に製品化する事を企画しました。具体的には、パイロット事業で実施効果が見られた、見守り業務の自動化を行うシステムを構築します。

今回開発するシステムの主要顧客層として、厚労省が構築を進める「地域包括ケアシステム」の重要な構成要素である「認知症グループホーム」を念頭に置いています。しかし、認知症グループホームはその有用性が認識されてきている一方で、経営基盤の脆弱さから来る設備投資の遅れや職員の慢性的な不足が課題となっています。そこで、少ない経営資源でもシステムを使って頂けるよう、クラウドコンピューティング技術を活用したサブスクリプション方式のサービスとして、システムを開発することにしました。